主日礼拝日時

3月2日(日曜日)

聖書講話箇所

サムエル記下13-15章

「神の裁きと恵み」
   
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新共同 Ⅱサム13:1-39

13:1 その後、こういうことがあった。ダビデの子アブサロムにタマルという美しい妹がいた。ダビデの子アムノンはタマルを愛していた。
13:2 しかしタマルは処女で、手出しをすることは思いもよらなかったので、妹タマルへの思いにアムノンは病気になりそうであった。
13:3 アムノンにはヨナダブという名の友人がいた。ヨナダブはダビデの兄弟シムアの息子で大変賢い男であった。
13:4 ヨナダブはアムノンに言った。「王子よ、朝ごとに君はやつれていく。どうかしたのか。どうして打ち明けないのだ。」アムノンは彼に言った。「兄弟アブサロムの妹タマルを愛しているのだ。」
13:5 ヨナダブは言った。「病気を装って床に就くとよい。父上が見舞いに来られたら、『妹タマルをよこしてください。何か食べ物を作らせます。わたしに見えるように、目の前で料理をさせてください。タマルの手から食べたいのです』と言ったらよい。」
13:6 アムノンは床に就き、病を装った。王が見舞いに来ると、アムノンは王に言った。「どうか妹のタマルをよこしてください。目の前でレビボット(『心』という菓子)を二つ作らせます。タマルの手から食べたいのです。」
13:7 ダビデは宮殿にいるタマルのもとに人をやって、兄アムノンの家に行き、料理をするように、と伝えさせた。
13:8 タマルが兄アムノンの家に来てみると、彼は床に就いていた。タマルは粉を取ってこね、アムノンの目の前でレビボットを作って焼き、
13:9 鍋を取って彼の前に出した。しかしアムノンは食べようとせず、そばにいた者を皆、出て行かせた。彼らが皆出て行くと、
13:10 アムノンはタマルに言った。「料理をこちらの部屋に持って来てくれ。お前の手から食べたいのだ。」タマルが、作ったレビボットを持って兄アムノンのいる部屋に入り、
13:11 彼に食べさせようと近づくと、アムノンはタマルを捕らえて言った。「妹よ、おいで。わたしと寝てくれ。」
13:12 タマルは言った。「いけません、兄上。わたしを辱めないでください。イスラエルでは許されないことです。愚かなことをなさらないでください。
13:13 わたしは、このような恥をどこへもって行けましょう。あなたも、イスラエルでは愚か者の一人になってしまいます。どうぞまず王にお話しください。王はあなたにわたしを与えるのを拒まれないでしょう。」
13:14 アムノンは彼女の言うことを聞こうとせず、力ずくで辱め、彼女と床を共にした。
13:15 そして、アムノンは激しい憎しみを彼女に覚えた。その憎しみは、彼女を愛したその愛よりも激しかった。アムノンは彼女に言った。「立て。出て行け。」
13:16 タマルは言った。「いいえ、わたしを追い出すのは、今なさったことよりも大きな悪です。」だがアムノンは聞き入れようともせず、
13:17 自分に仕える従者を呼び、「この女をここから追い出せ。追い出したら戸に錠をおろせ」と命じた。
13:18 タマルは未婚の王女のしきたりによって飾り付きの上着を着ていたが、アムノンに仕える従者が彼女を追い出し、背後で戸に錠をおろすと、
13:19 タマルは灰を頭にかぶり、まとっていた上着を引き裂き、手を頭に当てて嘆きの叫びをあげながら歩いて行った。
13:20 兄アブサロムは彼女に言った。「兄アムノンがお前と一緒だったのか。妹よ、今は何も言うな。彼はお前の兄だ。このことを心にかけてはいけない。」タマルは絶望して兄アブサロムの家に身を置いた。
13:21 ダビデ王は事の一部始終を聞き、激しく怒った。
13:22 アブサロムはアムノンに対して、いいとも悪いとも一切語らなかった。妹タマルを辱められ、アブサロムはアムノンを憎悪した。
◆アブサロムの復讐
13:23 それから二年たった。エフライムに接するバアル・ハツォルにアブサロムの羊の毛を刈る者が集まった。アブサロムは王子全員を招待し、
13:24 王のもとに行って願った。「僕は羊の毛を刈る者を集めました。どうぞ王御自身、家臣を率いて、僕と共にお出かけください。」
13:25 王はアブサロムに言った。「いや、わが子よ、全員で行くこともあるまい。お前の重荷になってはいけない。」アブサロムは懇願したが、ダビデは出かけることを望まず、ただ祝福を与えた。
13:26 アブサロムは言った。「それなら、兄アムノンをわたしたちと共に行かせてください。」王は彼に、「なぜアムノンを同行させるのか」と言ったが、
13:27 アブサロムが重ねて懇願したので、アムノンと王子全員をアブサロムに同行させた。
13:28 アブサロムは自分の従者たちに命じて言った。「いいか。アムノンが酒に酔って上機嫌になったとき、わたしがアムノンを討てと命じたら、アムノンを殺せ。恐れるな。これはわたしが命令するのだ。勇気を持て。勇敢な者となれ。」
13:29 従者たちは、アブサロムの命令どおりアムノンに襲いかかった。王子は全員立ってそれぞれのらばに乗り、逃げ出した。
13:30 王子がだれも帰り着かないうちに、アブサロムが王子を一人残らず打ち殺したという知らせがダビデに届いた。
13:31 王は立ち上がると、衣を裂き、地面に身を投げ出した。家臣たちも皆、衣を裂いて傍らに立った。
13:32 ダビデの兄弟シムアの息子ヨナダブが断言した。「主君よ、若い王子たちが皆殺しになったとお考えになりませんように。殺されたのはアムノン一人です。アブサロムは、妹タマルが辱めを受けたあの日以来、これを決めていたのです。
13:33 主君、王よ、王子全員が殺害されたなどという言葉を心に留めることはありません。亡くなったのはアムノン一人です。」
13:34 アブサロムは逃亡した。見張りの若者が目を上げて眺めると、大勢の人が山腹のホロナイムの道をやって来るのが見えた。
13:35 ヨナダブは王に言った。「御覧ください。僕が申し上げたとおり、王子たちが帰って来られました。」
13:36 ヨナダブがこう言い終えたとき、王子たちが到着した。彼らは声をあげて泣き、王も家臣も皆、激しく泣いた。
13:37 アブサロムは、ゲシュルの王アミフドの子タルマイのもとに逃げた。ダビデはアムノンを悼み続けた。
13:38 アブサロムはゲシュルに逃げ、三年間そこにいた。
13:39 アムノンの死をあきらめた王の心は、アブサロムを求めていた。

新共同 Ⅱサム14:1-33

14:1 ツェルヤの子ヨアブは、王の心がアブサロムに向かっていることを悟り、
14:2 テコアに使いを送って一人の知恵のある女を呼び寄せ、彼女に言った。「喪を装ってほしい。喪服を着、化粧もせず、長い間死者のために喪に服しているように装うのだ。
14:3 そして王のもとに行き、こう語りなさい。」ヨアブは語るべき言葉を彼女に与えた。
14:4 テコアの女は王の前に出ると、地にひれ伏して礼をし、「王様、お救いください」と言った。
14:5 「どうしたのだ」と王が尋ねると、彼女は言った。「わたしは実はやもめでございます。夫は亡くなりました。
14:6 はしためには二人の息子がおりました。ところが二人は畑でいさかいを起こし、間に入って助けてくれる者もなく、一人がもう一人を打ち殺してしまいました。
14:7 その上、一族の者が皆、このはしためを責めて、『兄弟殺しを引き渡せ。殺した兄弟の命の償いに彼を殺し、跡継ぎも断とう』と申すのです。はしために残された火種を消し、夫の名も跡継ぎも地上に残させまいとしています。」
14:8 王は女に言った。「家に帰るがよい。お前のために命令を出そう。」
14:9 テコアの女は王に言った。「主君である王様、責めは、わたしとわたしの父の家にございます。王様も王座も責めを負ってはなりません。」
14:10 王は言った。「お前にあれこれ言う者がいたら、わたしのもとに連れて来なさい。その者がお前を煩わすことは二度とない。」
14:11 彼女は言った。「王様、どうかあなたの神、主に心をお留めください。血の復讐をする者が殺戮を繰り返すことのありませんように。彼らがわたしの息子を断ち滅ぼしてしまいませんように。」王は答えた。「主は生きておられる。お前の息子の髪の毛一本たりとも地に落ちることはない。」
14:12 女は言った。「主君である王様、はしためにもうひと言申し述べさせてください。」王は言った。「語るがよい。」
14:13 女は言った。「主君である王様、それではなぜ、神の民に対してあなたはこのようにふるまわれるのでしょう。王様御自身、追放された方を連れ戻そうとなさいません。王様の今回の御判断によるなら、王様は責められることになります。
14:14 わたしたちは皆、死ぬべきもの、地に流されれば、再び集めることのできない水のようなものでございます。神は、追放された者が神からも追放されたままになることをお望みになりません。そうならないように取り計らってくださいます。
14:15 王様のもとに参りまして、このようなことを申し上げますのは、民がわたしに恐怖を与えるからでございます。王様に申し上げれば、必ずはしための願いをかなえてくださると思いました。
14:16 王様は聞き届けてくださいました。神からいただいた嗣業の地からわたしと息子を断ち滅ぼそうとする者の手から、はしためを救ってくださいます。
14:17 はしためは、主君である王様のお言葉が慰めになると信じて参りました。主君である王様は、神の御使いのように善と悪を聞き分けられます。あなたの神、主がどうかあなたと共におられますように。」
14:18 王は女に言った。「わたしがこれから問うことに、隠し立てをしないように。」女は答えた。「王様、どうぞおっしゃってください。」
14:19 王は言った。「これはすべて、ヨアブの指図であろう。」女は答えて言った。「王様、あなたは生きておられます。何もかも王様の仰せのとおりでございます。右にも左にもそらすことはできません。王様の御家臣ヨアブがわたしにこれを命じ、申し上げるべき言葉をすべて、はしための口に授けたのでございます。
14:20 御家臣ヨアブが事態を変えるためにこのようなことをしたのです。王様は神の御使いの知恵のような知恵をお持ちで、地上に起こることをすべてご存じです。」
14:21 王はヨアブに言った。「よかろう、そうしよう。あの若者、アブサロムを連れ戻すがよい。」
14:22 ヨアブは地にひれ伏して礼をし、王に祝福の言葉を述べた。ヨアブは言った。「王よ、今日僕は、主君、王の御厚意にあずかっていると悟りました。僕の言葉を実行してくださるからです。」
14:23 ヨアブは立ってゲシュルに向かい、アブサロムをエルサレムに連れ帰った。
14:24 だが、王は言った。「自分の家に向かわせよ。わたしの前に出てはならない。」アブサロムは自分の家に向かい、王の前には出なかった。
14:25 イスラエルの中でアブサロムほど、その美しさをたたえられた男はなかった。足の裏から頭のてっぺんまで、非のうちどころがなかった。
14:26 毎年の終わりに髪を刈ることにしていたが、それは髪が重くなりすぎるからで、刈り落とした毛は王の重りで二百シェケルもあった。
14:27 アブサロムには三人の息子と一人の娘が生まれた。娘はタマルという名で、大変美しかった。
14:28 アブサロムはエルサレムで二年間過ごしたが、王の前に出られなかった。
14:29 アブサロムは、ヨアブを王のもとへの使者に頼もうとして人をやったが、ヨアブは来ようとせず、二度目の使いにも来ようとしなかった。
14:30 アブサロムは部下に命じた。「見よ、ヨアブの地所はわたしの地所の隣で、そこに大麦の畑がある。行ってそこに火を放て。」アブサロムの部下はその地所に火を放った。
14:31 ヨアブは立ってアブサロムの家に来た。「あなたの部下がわたしの地所に火を放つとは何事です」と彼が言うと、
14:32 アブサロムはヨアブに言った。「わたしはお前に来てもらおうと使いをやった。お前を王のもとに送って、『何のためにわたしはゲシュルから帰って来たのでしょうか、これではゲシュルにいた方がよかったのです』と伝えてもらいたかったのだ。王に会いたい。わたしに罪があるなら、死刑にするがよい。」
14:33 ヨアブは王のもとに行って報告した。王はアブサロムを呼び寄せ、アブサロムは王の前に出て、ひれ伏して礼をした。王はアブサロムに口づけした。


新共同 Ⅱサム15:1-37

15:1 その後、アブサロムは戦車と馬、ならびに五十人の護衛兵を自分のために整えた。
15:2 アブサロムは朝早く起き、城門への道の傍らに立った。争いがあり、王に裁定を求めに来る者をだれかれなく呼び止めて、その出身地を尋ね、「僕はイスラエル諸部族の一つに属しています」と答えると、
15:3 アブサロムはその人に向かってこう言うことにしていた。「いいか。お前の訴えは正しいし、弁護できる。だがあの王の下では聞いてくれる者はいない。」
15:4 アブサロムは、こうも言った。「わたしがこの地の裁き人であれば、争い事や申し立てのある者を皆、正当に裁いてやれるのに。」
15:5 また、彼に近づいて礼をする者があれば、手を差し伸べて彼を抱き、口づけした。
15:6 アブサロムは、王に裁定を求めてやって来るイスラエル人すべてにこのようにふるまい、イスラエルの人々の心を盗み取った。
15:7 四十歳になった年の終わりにアブサロムは王に願った。「主への誓願を果たすため、ヘブロンに行かせてください。
15:8 僕はアラムのゲシュルに滞在していたとき、もし主がわたしをエルサレムに連れ戻してくださるなら主に仕える、と誓いました。」
15:9 王が「平和に行って来るように」と言ったので、アブサロムは立ってヘブロンに向かった。
15:10 アブサロムはイスラエルの全部族に密使を送り、角笛の音を合図に、「アブサロムがヘブロンで王となった」と言うように命じた。
15:11 このときエルサレムから二百人の者がアブサロムと共に出かけたが、招きに応じて同行しただけで、何も知らされてはいなかった。
15:12 いけにえをささげるにあたって、アブサロムは使いを送り、ダビデの顧問であるギロ人アヒトフェルを彼の町ギロから迎えた。陰謀が固められてゆき、アブサロムのもとに集まる民は次第に数を増した。
15:13 イスラエル人の心はアブサロムに移っているという知らせが、ダビデに届いた。
15:14 ダビデは、自分と共にエルサレムにいる家臣全員に言った。「直ちに逃れよう。アブサロムを避けられなくなってはいけない。我々が急がなければ、アブサロムがすぐに我々に追いつき、危害を与え、この都を剣にかけるだろう。」
15:15 王の家臣たちは言った。「主君、王よ、僕たちはすべて御判断のとおりにいたします。」
15:16 こうして王は出発し、王宮の者が皆、その後に従った。王は王宮を守らせるために十人の側女を残した。
◆ダビデとイタイ
15:17 王が出発し、人々は皆、その後に従った。一行は、まず離宮のところで歩みを止めた。
15:18 家臣がまず王の傍らを通り、次いでクレタ人全員とペレティ人全員、それに続いてガトからダビデに従って来た六百人のガト人が王の前を通った。
15:19 王はガト人イタイに言った。「なぜあなたまでが、我々と行動を共にするのか。戻ってあの王のもとにとどまりなさい。あなたは外国人だ。しかもこの国では亡命者の身分だ。
15:20 昨日来たばかりのあなたを、今日我々と共に放浪者にすることはできない。わたしは行けるところへ行くだけだ。兄弟たちと共に戻りなさい。主があなたに慈しみとまことを示されるように。」
15:21 イタイは王に答えて言った。「主は生きておられ、わが主君、王も生きておられる。生きるも死ぬも、主君、王のおいでになるところが僕のいるべきところです。」
15:22 ダビデは、「よろしい、通って行きなさい」と言い、ガト人イタイは大人も子供も、共にいた者全員を率いて通った。
15:23 その地全体が大声をあげて泣く中を、兵士全員が通って行った。王はキドロンの谷を渡り、兵士も全員荒れ野に向かう道を進んだ。
◆ツァドク、アビアタルと神の箱
15:24 ツァドクをはじめレビ人全員が神の契約の箱を担いで来ており、兵士全員が都を去るまで神の箱を降ろしていた。アビアタルも来ていた。
15:25 王はツァドクに言った。「神の箱は都に戻しなさい。わたしが主の御心に適うのであれば、主はわたしを連れ戻し、神の箱とその住む所とを見せてくださるだろう。
15:26 主がわたしを愛さないと言われるときは、どうかその良いと思われることをわたしに対してなさるように。」
15:27 王は祭司ツァドクに向かって言葉を続けた。「分かったか。平和にエルサレムに戻ってもらいたい。息子のアヒマアツとアビアタルの子ヨナタン、この二人の若者を連れて帰りなさい。
15:28 分かったか。わたしはあなたたちからの知らせを受けるまで、荒れ野の渡し場で待っている。」
15:29 ツァドクとアビアタルは神の箱と共にエルサレムに戻り、そこにとどまった。
◆ダビデとフシャイ
15:30 ダビデは頭を覆い、はだしでオリーブ山の坂道を泣きながら上って行った。同行した兵士たちも皆、それぞれ頭を覆い、泣きながら上って行った。
15:31 アヒトフェルがアブサロムの陰謀に加わったという知らせを受けて、ダビデは、「主よ、アヒトフェルの助言を愚かなものにしてください」と祈った。
15:32 神を礼拝する頂上の場所に着くと、アルキ人フシャイがダビデを迎えた。上着は裂け、頭に土をかぶっていた。
15:33 ダビデは彼に言った。「わたしと一緒に来てくれてもわたしの重荷になるだけだ。
15:34 都に戻って、アブサロムにこう言ってくれ。『王よ、わたしはあなたの僕です。以前、あなたの父上の僕でしたが、今からはあなたの僕です』と。お前はわたしのためにアヒトフェルの助言を覆すことができる。
15:35 都には祭司ツァドクとアビアタルもいて、お前と共に行動する。王宮で耳にすることはすべて祭司のツァドクとアビアタルに伝えてほしい。
15:36 また、そこには彼らの二人の息子も共にいる。ツァドクの息子アヒマアツ、アビアタルの息子ヨナタンだ。耳にすることは何でもこの二人を通してわたしのもとに伝えるようにしてくれ。」
15:37 こうしてダビデの友フシャイは都に入った。アブサロムもエルサレムに入城した。